今回大学生の井野川さんが訪ねてくれた株式会社フジワラテクノアートは、ほとんどが職人の勘と経験の世界だった麹づくりの技術をデータ化し、困難と言われてきた機械による醸造技術を確立したトップメーカーです。
製麹機械における全国シェアは驚きの80%!?これまで培った知識や技術をもとに新たな挑戦を続けるこの会社には、どんな企業文化が息づいているのでしょうか……!

★中山さん
コーポレートコミュニケーション部所属。人事、総務、経理を担当する部署で、その中でも採用や広報を中心に担当。
★高岸さん
技術営業部所属。機械のメンテナンスや改善、プラント建設では設計から工場稼働まで計画段階からプランニングする。営業担当。
・フジワラテクノアート コンセプトムービー2023
https://www.youtube.com/watch?v=GItm7QhfeNw
★井野川さん
岡山県内の大学に在学中の大学生。NPO法人だっぴのインターン生として10月から参加、企業取材に挑戦中。
Index
オーダーメイドのものづくりで日本の醸造文化を守る
職人の手仕事をオーダーメイドの醸造機械で再現
- フジワラテクノアートはどのような事業に取り組んでいるのですか?
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中山
一言で言うと醸造機械メーカーで、醤油、味噌、日本酒、焼酎、納豆、甘酒などいわゆる醸造食品、発酵食品を生産するための「機械」を製造販売しています。
その他一般の食品向けの機械やバイオ関連の機械の製造、プラントエンジニアリングという工場建設の企画から工場が稼働するまで全体を手がける仕事もやっています。お客様が使いやすいように、お客様の代弁者として一連の工程に関われることが当社の強みです。
- 醸造っていうのは職人の手仕事と言われてきた分野ですよね?
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中山
そうです。その経験や勘でやってきたことを機械化したわけです。
- すごい!メーカーごとの違いもあると思うのですが、製造する機械も微妙に違ってくるのですか?
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中山
そうですね、メーカーそれぞれにこだわりがあり、生産量、原料、求める品質も違いますので、機械、プラントとも受注生産でお客様に合った仕様のものをフルオーダーメイドで製造させていただいています。
もちろんそれは手間がかかって大変なことなんですけれど、それによってお客様のニーズに寄り添った製品が提供できるわけで、これも当社の強みの一つです。
日本酒の製造設備「回転式自動洗米浸漬装置」
- なるほど〜。機械化によってどのようなメリットが生まれるのでしょう。
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中山
自動化によって人手がかからなくなります。しかも、人がやるよりも再現性が高かったり、品質の安定をもたらすこともできるかと思います。特に日本酒の製麹装置は高い評価をいただいています。
もちろんすべてを機械化することをおすすめするわけではありません。「加工工程の中のある部分は手作りにこだわりたい」というお客様もいらっしゃいますので、ニーズに合わせて一部を機械化するなど柔軟にご提案・対応をしています。
シェア80%!日本食文化・醸造文化を守る誇り
- 御社の取引先はどのぐらいあるんですか?
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中山
57年前から海外進出もしていて、これまで27カ国に輸出実績があります。
また、醸造食品において重要な工程となるのが麹作りですが、その麹づくりをするための製麹機械の国内シェアは約80%で、高いシェアを誇っています。
- 8割!ちなみに相手先としてどんな企業に機械を卸していますか?
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中山
大手の醤油、味噌、日本酒、焼酎など各業界のメーカーをはじめ、醸造食品は地方のメーカーも多く、国内では約1500社と取引があります。
- せ、1500社!
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中山
自分たちが携わった機械で生産されたお取引先さまの商品を店頭で見かけたりすると、日本食文化を支えている、醸造文化を支えていると誇りに思いますし働きがいにもつながりますよ。
日本食・醸造文化の代表、醤油や味噌
- これまで会社としてどんなことを大事にされてきたのですか?
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中山
当社は社名に「アート」ということばが入っていて、「テクノアート」で技術と感性を大事にするという思いが込められています。
技術だけを高めるのではなくて、時代の潮流をちゃんと感じ取る感度やセンス、お客様の思い、ご希望をしっかり酌み取る感性を大切にしてきました。そして、お客様にしっかり寄り添った対応を継続し続けてきたことが、海外国内問わずお客様からの信頼につながってきたと思っています。
また、今は循環型社会への貢献を目指して、麹づくりで培った技術をもとに開発ビジョン2050を策定して新たな技術開発の種をまき始めています。
学べる、チャレンジできる環境づくりで社員を育成
- 現在就職先を検討中なので「新入社員の育成」が気になっているのですが、御社では具体的にどのようなことをされていますか?
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中山
中山さん:社員が働きがいを感じられる仕組みづくり、特に入って間もない社員もチャレンジできるような環境作りに力を入れています。
その一つが「フジワラものづくり塾」という社内塾です。この塾は、業務に必要なものづくりとか醸造の知識をベテラン社員から体系的に学べる場になっています。
また、新しく入った社員に対して「メンター」という相談役の先輩社員がつき、いろんなことを相談しながら問題解決をしていける制度もあります。
- おお〜。新入社員と言われる頃を過ぎても、チャレンジしやすくなる制度はあるのでしょうか。
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中山
資格取得試験を受験する際に交通費などを含めた受験費用を会社が負担してくれたり、会社が対象とする資格が取得できた際には報奨金を支給してもらえたりする「資格報奨金制度」があります。
もう少し広くとらえると、社員1人1人が5年後のビジョンとそこに至るまでの成長計画を作成し上司と共有、その将来ビジョン達成に向けて資格取得や実務の経験・蓄積を進めていく「個人別5ヶ年ビジョン」というのもあります。
これも社員の育成の中で大きな取り組みですね。
イメージ通り?フジワラテクノアートで働いてみて / 入社理由、大事なのはトップシェア&インスピレーション
- お二人はどうしてフジワラテクノアートに入社しようと思ったのですか?
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高岸・中山
中山さん:私の場合、まず長く続く企業で働きたかったんです。
フジワラテクノアートは醸造機械というとニッチな分野ではありますがトップシェアメーカー。食の分野を支え、長く必要とされ続ける企業だろうと思っていました。
もう一つの決め手は感覚的なもの、インスピレーションです。面接で来訪した時にもしっかりあいさつしてもらえたんですよね。社内の雰囲気も見て「この会社がいい!」と直感しました。
高岸さん:私の場合、就活で一番重視していたのが地元・岡山県の企業に就職することでした。
その中でどういった職種に就きたいかを考え探っていく中で、フジワラテクノアートのことを知ったんです。
どんどん調べていくうちに「この会社面白い!」、「この会社に入りたい!」と思うようになって入社試験を受けました。
- 高岸さんは、なぜ「この会社面白い!」と思ったのでしょう。
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高岸
中山さんと似ています。やはり醸造業界という狭い分野ですけれど圧倒的なトップシェアを持っていたこと。そして、社員の方と話をした時の印象の良さもですね。
「こんな社員の方がいっぱいいるのであれば、フジワラテクノアートに入ってこの人たちのようになりたい」と思えたんです。
全てが自社製品だから、ものづくりの醍醐味を味わえた
- 高岸さんはフジワラテクノアートで働く中で、どんなところに魅力を感じていますか?
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高岸
受注からお客様に引き渡すまで、常にお客様とともに一連の工程に携わることができることですね。
たとえば車や建物をつくる場合は、いろんな会社が部品や部材を作っていて、それぞれの人にはユーザーの姿が見えていないと思うんです。
そこが当社は違っていて、醸造機械をはじめとした機械類、それをつなぐ配管や電気関係の製品、そのすべてが私達がオーダーメイドで作ったものですからね。
- 高岸さんがこれまでに一番達成感を感じた仕事はなんですか?
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高岸・中山
大規模プラントの中 高岸さん:現在進行形ですが、私が1から10までお客様と話しをして内容を決めた大規模プラントの仕事です。
実は以前にもプラントを手がけたことがあるのですが、その時は前任者や上司の万全のサポートがあったんです。今回はその経験を糧に、自分自身でやりきることができているからこそ、比べものにならないぐらい強い達成感を感じられているのだと思います。
中山さん:高岸さんの場合、大規模案件でも一人でやりきるだけの能力が備わっていますが、経験値の浅い社員には先輩や上司など現場でのサポート体制を整え、一歩一歩レベルアップさせていますよね。
高岸さん:実際、現場ではわからないことは聞けば教えてもらえますし、育てようとしてくれているなと感じますね。
学び続けた末、みそソムリエになる。
- 御社で働く中で磨かれた専門性ってどのようなものですか?
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高岸
そうですね、醸造食品を作る上で必要な計算力や知識は蓄積され続けていると思います。私は味噌の仕事が多くて米とか大豆についてなど、味噌づくりに関する知識はどんどん増えてきました。
そこで、自分がこれまでに身に付けた知識の確認と新しい知識を得るために改めて勉強して、ついに「みそソムリエ」の資格を取得しました。
- え〜!高岸さん、みそソムリエだったんですか!
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高岸
はい(笑)。この資格は取得推奨資格ではありませんでしたが、申込み費用を支給してもらえました。
- おお、さきほど話に出ていた資格へのチャレンジ支援ですね!スキルアップにも働きがいにもつながりそうです。
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高岸
イメージ通り、上下関係も厳しくなく、お互いに名前で呼び合うような環境なので周囲にも話しかけやすい職場です。時には直接役員に「こんな仕事がしたいです」と話せてしまうぐらいですから。9年間働いて来ましたが、やらされ感がなく、「仕事が楽しい」と感じられるいい会社だったなと感じています。
- 入社前のイメージ通りだったんですね。
「会社は新入社員に投資している」、後悔しない会社選びを
- 就活や働くことを考えるうえでどんなことが大事だと思われますか?
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高岸
就職は重要なイベントです。会社が新入社員を入れることは「その人に投資をしている」ということだということも知っておいてほしいと思います。
入社して「思ったのと違う」「自分がやりたかったのはこんなことじゃない」と後悔したという話はよく耳にしますが、どんな仕事をすることになってもやっぱり後悔はしないでほしいなって思うんです。
- 後悔しないためにはどんなことが必要なのでしょう。
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高岸・中山
高岸さん:こうして私の話を聞いたら、フジワラテクノアートの技術営業部がどんな仕事をするところなのか、伝わりますよね。
「どんな会社なのか」「自分が何をすることになるのか」「どうしたら一人前になれるのか」「今働いている先輩社員の人と同じようになるにはどういった知識が必要なのか」…。
そういったことを知っておけば、自分がどんな社会人になりたいのかというビジョンも持てるようになると思います。それにはやはり、話を聞くことが大事だと思います。
中山さん:自己分析をして得意や苦手、好き嫌いを明確にしておくことも就職を考える上では大事ですよね。
高岸さん:嫌なものは長続きしませんからね。そうやって自分が後悔しない職種を選んで、就いた自分の仕事を周りに自慢できたり誇れるようになれば素晴らしいし、みなさんもそういう会社を見つけてほしいと思っています。
- ありがとうございます、後悔しない就活になるよう頑張ります!お忙しいところありがとうございました。
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