Company interview 企業インタビュー

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山陽電研株式会社

ライフラインを支える技術で新たな可能性に挑む・山陽電研株式会社

日常生活において欠かせない電気や水。電力会社が電気を、水道事業者が水道水をつくり、各家庭まで届ける仕組みがあることは知っている人は多いはず。でも、実はその仕組みをうまく働かせるためには、機械を制御するパーツが欠かせないんです。
今回は、その不可欠な役目を担う「制御盤」を製造している山陽電研株式会社のお二人に話を伺いました。生活インフラの根幹にどんな技術があるのか、今まさに挑戦していることとは何か、岡山大学のけんたろうさんが迫ります!

山陽電研株式会社ウェブサイト

 

国内外の生活を支える「制御盤」を作る

日常生活に欠かせない制御装置
初めに、御社の事業について教えてください。

山本

弊社は電力や水道など、生活インフラシステムを配電・制御する製品を製造しています。 主な製品は「スイッチギヤ」「ポンプ制御盤」「コンテナクレーン制御装置」の3つです。

★山本さん
システムソリューション室所属。さまざまな制御盤を動かすプログラムのソフト設計から現場業務まで幅広く担当している。

それぞれ詳しく教えてください!

江崎

スイッチギヤは発電所で生まれた電気を家庭に送るまでに経由する変電所に置いてある配電盤で、弊社が電力会社の依頼を受けて製造します。災害で不具合が起きた場合は原因の調査や整備も行いますよ。

★江崎さん
システムソリューション室所属。設計部に所属していた頃、他社に出向して経験したことを活かして、システムソリューション室を立ち上げる。

電力会社がお客様ということですか?

江崎

そうですね。ですが、発電設備の一部となる盤や何かの製品を作るテスト機に使用される盤の場合は、一般の企業に納品することもありますよ。

制御盤

 

そうなんですね!ポンプ制御盤はどんなものですか?

山本

ポンプ制御盤は浄水場や下水場で水を送り出す設備などに使用されています。例えば、川の水を水道水にするためには塩素を使います。その過程で様々なバルブやモーターを制御するために不可欠な制御盤を弊社が製造しています。

なるほど。あと1つ、コンテナクレーン制御装置はどのように使われるものなんですか?

江崎

海外から貨物を輸送するときに、コンテナに貨物を入れて船に乗せます。その船が港に到着するとコンテナを船から地上に移すのですが、その積み降ろす際のクレーン制御に使います。また、地上に移動した後のコンテナ管理にも制御盤が使われているんですよ。

そんなところでも制御盤が使われているんですね。

山本

はい。それぞれ、一般の人が直接的に目にする製品ではありませんが、電気・水道・物流と私たちの日常生活の土台を支える事業なんです。

オーダーメイドで国内外に納品

制御盤の製造をしている他社に比べて、強みはどんなところですか?

江崎

大きな電力を作って供給する電力会社の場合、それに耐えうる特注の制御盤を必要としています。それに応えることができるというのが一番の強みです。

他社にはない技術を持っているということですか?

江崎

はい。大きな電力を扱う制御盤を取り扱っている会社はとても少ないのです。弊社は創業から75年、大きな電力を受配電する製品を長年製造する中で培ってきた知識と技術が強みとなっています。

山陽電研株式会社のテレビCM

これまでの歴史が強みになっているんですね。他の製品についても教えてください。

江崎

コンテナクレーンの制御盤は、PLCという機械を自動でコントロールする制御装置を扱い、海外企業とも取引しています。

少し専門的な話になりますが、通常、国内製のPLCは日本語仕様です。しかし、海外の企業は、外国語仕様の海外製のPLCで納品してほしいわけです。そのご要望に応え、日本語対応していない海外製のPLCを使ってソフトを設計し、納品しているんですよ。同業他社で海外企業に納品している企業は多くないと思います。

海外にも!すごいですね!

工場一括管理システムを、お客様が手が届く価格で

御社がこれから挑戦していきたいことはありますか?

山本

発電設備や浄水場の設備は規模が大きく、1つの設備を完成させるために、いくつもの工程や機械が必要です。

弊社はそのなかで使われる部品の一つを製造しているというのが現状です。

しかし今、一つの製品だけではなく、設備全体の製造を手掛けられるようになる>ことを目標に計画し、進めています。

システム全体を管理する製品を開発されているということですか?

江崎

はい。まだ開発中ですが、工場全体を管理できるようなシステムを作りたいと考えています。

現状、一つの工場に様々なメーカーの制限盤が何種類もあることが多いため、一括管理が難しい状況なんです。一括管理ができないことはありませんが、そのシステムを導入しようとすると、ものすごく高額な導入費用がかかってしまいます。

すでにお客様から「もう少し安価で一括管理ができるシステムはないか」とご相談をいただいていて、弊社で開発したものを提案しました。2024年の夏頃には、納品が完了し、工場が動き出す予定です。

まさに挑戦のまっただ中なんですね!

お客様との共同で実現する山本さん・江崎さんのお仕事

常に新しいことに取り組むシステムソリューション室
お2人が所属するシステムソリューション室では、どのような仕事をしているんですか?

山本

システムソリューション室では、主にソフト設計をおこなっています。例えば、ポンプの動きを制御するシステムや、設備を遠方から監視する画面をパソコン上に表示するシステムです。

江崎

他にも、他の部署ではできないことを、システムソリューション室でできないか検討してみて、お客様に提案することもしていますよ。社内的には、システムソリューション室で試して上手くいった効率的な仕事の仕方などを、他の部署に展開していくという取り組みもしています。

新しい仕事を生み出したり、社内で新しい働き方に取り組んだりしているんですね。

江崎さん(左)と山本さん(右)にお仕事の魅力をたくさん教えていただきました!

好きではなくなっても続けられるモノづくりがしたい
入社して魅力に感じていることやギャップがあったことはありますか?

山本

私が山陽電研を選んだ理由の一つに、モノづくりができる会社だからということがあります。

一方で「自分が好きなものを作っている会社に入社すると、もしもそれを嫌いになったときに仕事を続けていけないかも知れない」という不安もありました。

山陽電研の手がける製品はインフラの一部なので、正直パッと見て何を作っているかはわかりづらかったんです。でも、それがかえって「目にするのが嫌になっても作り続けていけるかな」とも感じて(笑)。

少し安直な考えだったかもしれませんが、それで入社したいと思いました。

そういう会社の選び方もあるんですね…!

山本

私は物理学科の出身で工学系や電気系の知識がほとんどなかったので、入社してから学ぶことがとても多くありました。その中でPLCに出会ったんです。

先ほどお話にあった、機械をコントロールするPLCですね。

山本

はい。PLCで用いられる「ラダープログラム」というプログラミング言語は、記号を覚えて組み合わせることで、ソフトを動かすことができる言語です。プログラミング言語の知識が一切なくても動かすことができるということに、すごく魅力を感じました。

「続けられるモノづくりをしたい」と選んだ会社でしたが、世の中で役に立つ製品を作ることができるんだと実感できたことが、入社後の嬉しいギャップでした。

役立つ製品を作れているのはやりがいにも繋がりますか?

山本

そうですね。ソフト設計は地道な確認作業が多くあります。それを積み重ねて最後に自分が作り上げたものを見たときの達成感や、お客様と話し合って「今回はよくできた!」と感じるその一瞬のために、毎日少しずつ頑張っています。

細かな作業の積み重ねが達成感につながっていると語る山本さん

システムが円滑に動くまでお客様とやり切る現場の仕事

江崎さんは、印象に残っている仕事は何かありますか?

江崎

私は、東京でのコンテナクレーンの改造工事がとても印象に残っています。ガソリンで走っているコンテナクレーンをハイブリッド化するために、新しい設備を付ける改造工事で、お客様と一緒に現場に行きました。

工事した後に不具合が出ると動かなくなってしまうので、原因を調査するのですが、コンテナを保管している広いコンテナヤードをみんなで走って行って、3m~5mあるクレーンに垂直梯子を使って上ったんですよ。

ええっ!大変な作業ですね。

江崎

そうですね。けれど、荷物を運ぶ運転手さんのお給料は運んだ荷物の量によって決まるので、少しでもクレーンが止まると死活問題なんです。だから、絶対解決しないといけない。みんなで手分けしながら必死の復旧作業は大変でしたが、強い一体感を感じました。

そんな仕事を真夏に毎日していた結果、日焼けして真っ黒になっていたんですよ。自分では気づいていなかったんですけど(笑)。

私が岡山に戻った頃、インドに出張に行っていた社員もちょうど戻ってきていました。インドはとても暑くてそちらの現場も大変だったらしいんですが、彼と私の姿を見比べると私のほうが黒かったんですよ!

そうだったんですか!

江崎

「どちらがインド帰りなのか」という話をだいぶネタにされました(笑)。その後、お互いの現場の話や成果が出たことを彼と話せたことは嬉しかったですね。

クレーン制御の現場は広大!

山陽電研のみなさんからあなたへ

好きなことを一生懸命楽しんで
最後に、高校生や大学生へメッセージをいただけますか?

山本

学生の皆さんには好きなことを目いっぱい楽しんでほしいなと思います。今、私は仕事と子育てで自由な時間がなかなかとれないので、もし私が学生だったらしっかり遊びたいです(笑)。

江崎

私も今を楽しんでほしいと思います。システムソリューション室にはうらじゃをやっていた人をはじめ、個性のある人がたくさんいるんですよ。もちろん勉強も大事です。だけど、視野を広げるためにも、いろんなことに挑戦してほしいと思います。
大それたことじゃなくてよくて、遊ぶことでも十分いい。自分がやりたいことを一生懸命やることで、社会に出てからの人間関係や仕事に活きてくることがあると思います。

今日はたくさんお話を聞かせていただきありがとうございました!

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