現代ではスマートフォンや端末も「一人一台」が当たり前。パソコン上での職場への出勤・退勤やデータ保管もごく普通に行われていますよね。でも、岡山にあるOEC株式会社は、コンピュータがまだ一般に普及していない頃からいち早く情報システムサービスを提供していたんです。
1969年の創業以来システムの開発から導入、保守までを一環して手掛け、地方自治体から医療機関、民間企業まで幅広い業界の課題をシステムの力で解決するこの企業に、大学生の景山(かげやま)くんがお話を伺ってくれました。

私たちの生活をシステムで支える縁の下の力持ち OEC株式会社ウェブサイト
★池田香(いけだかほり)さん
経営グループ/人事・総務チーム主任/広報・採用担当。勤続15年。マイブームは韓国コスメ。オンラインや現地でコスメを購入し、トライアンドエラーを楽しんでいる。
★長尾悠士(ながおゆうし)さん
流通ソリューショングループ/流通第二チーム。入社3年目。最近、岡山県和気町にある中山カートウェイにて友人の所有するレーシングカートに乗り、体感速度200キロの世界を初めて体験した。
★景山(かげやま)くん
経営学部でマーケティングを学ぶ大学2回生。大学生活も後半に差し掛かり、就活を意識し始めた。現在は、自分の身の回りにある職業に興味津々。
Index
50年以上前のコンピュータ黎明期から社会を支え続けるIT企業・OEC株式会社
ITの波をいち早くつかみ、事業が急成長
- 2024年で創立55周年を迎えたということですが、創業のころはどんなサービスを取り扱っていたのですか?
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池田
今の学生さんには想像しにくいかもしれませんが、当時は、ほとんどの方がコンピューターを持ってない時代でした。そこで、弊社では所有のパソコンを使い、企業に必要な計算業務や情報処理業務を受託していました。また、弊社は創業間もなく天満屋と提携し、その流通部門を担ってきた歴史もあります。
- パソコンが無い時代…確かに想像できませんね…。その後、事業はどのように成長していったのでしょう?
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池田
一般のお客様に向けたパソコン販売やパソコン教室もしていたのですが、社会全体へのパソコンの普及とIT技術の発展が進むにつれて、自治体や民間企業、医療関係など多分野にわたってお取引をさせていただくようになりました。
現在では、公的な機関以外からの多くの団体様からも、勤怠管理、販売管理、帳票配信サービスなど多岐にわたるシステムの開発・導入・保守を任せていただいております。
例えば、勤怠管理システムでは残業・労働時間等をグラフで表示することができ、働き方改革に一役買っています。また、庶務管理システムでは、紙の申請書類をデータ化し、電子申請や電子決裁を可能にして業務のスピードアップを図ります。
業務効率化やペーパーレス化など、多くの企業が抱える困りごとを解決するという観点で、たくさんのオリジナルパッケージを生み出してきました。
- なるほど、企業や公的機関の土台になるようなシステムを開発して、社会を支えてくれているんですね。僕たち学生の身近なところにも御社のシステムはありますか?
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長尾
はい。私のチームでは百貨店やスーパーマーケットのPOSシステム(売上情報管理システム)を扱っています。これを使うことで「どの商品が、いつ、どんな価格で、いくつ売れたのか」という情報を一括で管理することができるのです。
- ということは?
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長尾
皆さんがスーパーのレジを通して商品を購入すると、システムが商品ごとの売上や在庫情報を全て紐づけて自動で計算・管理してくれるんです。
- なるほど!
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長尾
私のチームは、百貨店やスーパーの運営をメイン事業としている天満屋グループの一員なので、長年蓄積された流通システムの活用ノウハウが強みでもあるんです。
地元SEの将来に投資する独自の取り組みの数々
- OECさんのシステムが身近にあることがだんだん分かってきました。岡山の企業として、独自の地域との関わりや取り組みもされているのでしょうか。
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池田
はい、私達は「IT技術をどのように地域へ還元するか?」を考えています。例えば、2020年頃から毎年夏休みに、岡山市や備前市の公民館で地元小学生に向けた無料プログラミング教室を開催しています。小さなお子さんも楽しむことができる企画になるよう工夫していますよ。
- すごい!小学生がプログラミングを!?
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池田
しかも、弊社が企画・開催しているのは低学年の子たちを対象にしたプログラミング教室なんです。プログラミングとはどういうことかを分かりやすく伝え、自分たちが考えた動きをどうロボットに指示すれば正しく動くのか、を考えてもらうような内容にしています。
- 1、2年生には難しくはないのですか?
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池田
実は、コンピューターを使用せずプログラミング的思考を学ぶ「アンプラグドプログラミング」という手法を使っています。紙とペンを使って指示を考えるので、親子で共有しながら楽しく参加してもらえています。教室の中ではIT技術が社会でどのように役立っているか解説し、生活に無くてはならないものだと感じてもらいたいと思っています。当教室でプログラミングのおもしろさを感じたことがきっかけになり、システムエンジニア志望の子どもたちが増えると嬉しいです。
- 確かに、IT業界の将来を担う人材が生まれるかもしれませんね!
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池田
私達の会社には「自主プロジェクト」という、業務とは別に社員同士がチームを作って取り組む自主的な研究活動があるのですが、実は、このプログラミング教室はそれがもとになっているんです。
- 自主プロジェクト、面白そうです。他にはどんなプロジェクトがあるのですか?
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池田
スキルアップセミナーやSDGs活動、AI研究、農業をテーマにしたIT技術活用など、テーマはさまざまです。会社から活動費を支給していて、各チームは研究に必要な書籍や機器の購入に充てています。あくまでも自主的な活動なので、参加は自由というところがポイントです。
- 自由度が高い職場環境なんですね。
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池田
はい。2023年にはオフィスをフルリニューアルして、席もフリーアドレスになりました。いつも同じ席で仕事をするのではなく、その日の気分に合わせて好きな席で仕事ができるようになり、気分転換にもつながっています。また、テニスやサイクリング、野球などのクラブ活動もあります。活動の自由度を高め、社内外でつながる仕組みを作ることで、部門・年代を越えたコミュニケーションの活性化に一役買っています。
- ありがとうございます!会社としてこれからについても教えてください。
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池田
多くの方が一度は耳にしたことがある「DX」は、私達が現在力を入れているキーワードです。国がDXを推奨し始めたのは何年も前のことですが、大手企業からDXが始まり、最近やっと地方の中小企業にも浸透してきました。グループウェアや勤怠管理システムなど業務改善につながるシステムが未導入の組織もまだまだたくさんあるため、これからはさらに「地域企業のDX」を促進したいですね。
チャレンジからしっかり経験値を得る、長尾さんの働き方
システムエンジニアを目指し始める意外な経緯
- 今度は長尾さんにお聞きします。なぜOECに入社したのですか?
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長尾
私は大学院生時代にSEになりたいと思いました。当時、岡山の大学から東京の大学院に進学するため、一度は地元岡山から上京したのですが、就職活動では家族からの声もあって岡山勤務を希望することにしました。転勤なしの条件に該当するIT企業に応募し、岡山にUターン就職する経緯を面接で伝えたところ、顔を曇らせる面接官が多い中で、OECだけは役員面接までのすべての方が笑顔で話を聞いてくれたんです。ポジティブな言葉をいただき、「ここしかない!」と感じました。
- 「大学院生時代にSEになりたいと思った」というのは、もともと理系で、IT関係の勉強をしていたからですか?
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長尾
実は、学部生時代は経済学部で金融についての勉強をしていました。
- 文系の学部から理系の大学院に!学生時代の知識は現在も活かされていますか?
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長尾
自分で学ぶ姿勢は仕事にも活かされていると思います。経済学部の頃はプログラミングに詳しい友人はいませんでしたし、大学院はコロナ禍のため必然的に一人で学習をしていました。
その結果、自主的に学ぶ基礎ができたと思います。大学院では研究以外でもプログラミングを行い、その頃のプログラムは今でも手元にあります。今見返すと拙いプログラムではありますが、思い出が詰まっています。
初めての取り組みもトライアンドエラーで挑戦
- 業務で苦労したこともあるのではないでしょうか?
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長尾
タスク管理に苦戦しています。複数のプロジェクトにアサインされるとタスクの優先度も難しく、スケジュールもタイトなため自分一人では判断が難しい場面は少なくありません。
- タスク管理を改善するために、どんな工夫をされていますか?
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長尾
まず、自分のタスクを大きいものから小さいものまで全て書き出しています。タスクの重要性や所要時間などを可視化することで、「時間をかけるべきものはこの日にやろう」「このタスクは小さいから今終わらせよう」など整理することができます。それでも判断がつかないものやスケジュールが厳しいものは上司に相談しています。
- 今後の目標はありますか?
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長尾
新しいサービスの開発に挑戦したいと考えています。OECを代表するソリューションの1つをつくりたいですね。また、今後どのようなキャリアを歩むかということもありますが、現時点はまだ決まっていません。ただ、どのようなキャリアに進むとしても技術力があり、チーム全体に気配りができる人になりたいですね。
今、大切にしてほしいのは「チャレンジ精神」
- 最後に、学生へのアドバイスをお願いします!
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池田さん、 長尾
池田さん:採用の際には「学生時代を満喫してください!」とお伝えしています。経験の引き出しを沢山作っておくのが学生時代です。案外、社会人になってから引き出しを開けるタイミングがきますよ。バックパッカーの体験をする、友達と海外へ行くなど、引き出しを作るために、今しかできないことは何でも挑戦してみてください。
長尾さん:やらない後悔より、やる後悔!やらない後悔から得られることは少ないですが、やった後悔からは経験や知見を得ることができます。僕自身、東京の大学院へいくことは大きなチャレンジでした。一人で黙々と勉強していた頃は苦しい時もありましたが、結果としては情報の集め方や、プログラミングスキルが身につきました。チャレンジあるのみです。
- チャレンジに大切なマインドってどんなものでしょうか?
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池田さん、 長尾
長尾さん:自分に対して誠実であること。そして、自分に嘘はつかないこと。この2つがチャレンジ精神を奮い立たせてくれます。僕が迷ったときは、「今やらなかったら高齢になった時、死ぬ時、後悔するだろうか?」と自分に問いかけ、行動を選択する時の基準にしています。
池田さん:「やらないといけない」と思うと苦しいけど、いろんな世界に触れるチャンスだと思って楽しむと勉強や就職活動等のチャレンジも楽しくなると思います。
弊社は文理不問で、多様な人材の採用を意識しています。きっと、多くの企業は、現時点での「できる、できない」は関係なく、「やるか、やらないか」という本人の意欲を重視して採用を決めているはずです。チャレンジの数だけチャンスがあると思って、行動してみてください。
- とても参考になりました。池田さん、長尾さん、本当にありがとうございました!
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